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2024年12月4日(水)   乾通り、北の丸公園の秋 
 坂下門から乾門に続く皇居の乾通りが11月30日から12月8日までの九日間に限り一般公開されるとテレビニュースで聞き、小春日和の予報が出ている12月4日に出掛ける。JR東京駅丸の内側の中央改札口を出て皇居に向かう行幸通りに出ると、外国人観光客が駅舎をバックに、あるいはイチョウ並木を背景に記念写真を撮るのに余念がない。最近、何しろ外国人観光客の数の多いのを実感させられ、日本人の方が肩身が狭い気分になってしまう。
 そんな中、日本人の老若男女が皇居の坂下門へと列をなして整然と歩いて行く。坂下門といえば、暗殺された井伊大老の後を継いだ老中安藤信正が水戸浪士6人に襲われ、負傷した坂下門外の変があった場所である。江戸時代もここまでは一般庶民も自由に出入りして登城する大名の行列を見物し、それを期待して商いの露店も出ていたのであろう。しかし、桜田門外の変もそうであるが、江戸城に入る門の直前で待ち伏せした一団に襲撃されるとは、幕府の権威も地に落ちていたと言わざるを得ない。 
  

 行幸通りのイチョウ並木を横切る二階建てオープン屋根の
観光バス 黄色や橙に紅葉したイチョウが青空に映えて美しい

坂下門 

 坂下門を潜ると、色づいた木々が目に飛び込んでくると期待していたが、意に反して紅葉した木はあまり多くない。しかも乾通りはほぼ南北に続く直線の道で、午後2時近くになり太陽の高度が低くなったため、乾通りが周りの木々に遮られて日陰になったこともあり、紅葉した木があっても色合いが目立たないのは残念である。局門(つぼねもん)、きっと大奥に勤める女御、お局様などが出入りし、反物や簪(かんざし)等を売る商人がこの門を潜ったのであろう。門前のイロハモミジも枝先の葉が赤くなりだしたばかりである。乾通りの西側にある道灌濠、東側の乾濠に植えられた木々も色づき始めたばかりのような頼りなさである。
 約700メートルの乾通りの紅葉狩り散策であるが、紅葉の具合が今一つと言うこともあり、あっという間に出口の乾門に着いてしまった。

坂下門から乾門に向かう乾通りの紅葉

局門とイロハモミジ
 
道灌濠
 
乾濠には江戸城の石垣と赤く紅葉した樹木が一本
 
黄色に紅葉したオオモミジ
 
乾門の先に黄色に紅葉したイチョウの大樹の姿が見える

 扉が開いた乾門から覗く紅葉したイチョウに誘われて、北の丸公園に足を運ぶ。公園として整備されているだけのことはあり、随所に紅葉した木々が配置されていて、秋の真っただ中の景色を楽しむことができる。赤く紅葉したモミジ、黄金色に色づいたイチョウの葉がちょっとした風によってハラハラと舞い落ち、ベンチでは静かに時間の経過を忘れたように、それらを眺める老若男女の姿。
 小さな流れのたもとにはモミジの赤とススキの白がお互いの存在を高めあい、乾通りに期待していたモミジ並木には紅葉狩りにやって来た観光客の姿が多い。
 
 
紅葉したモミジ
 
イチョウの大木の下には落ち葉が円状に敷き詰められている
 
ススキとモミジのコラボレーション
 
赤、黄、橙に紅葉したモミジ並木
 
 北の丸公園を離れて、内堀通り沿いに大手町に向かうと、少し黄色く染まり始めた柳並木と一本のほとんど葉を落とした桜が内堀を隔てて江戸城の石垣と向かい合っている。そして、空間の大半を占める近代的なビル群が、江戸時代との約百五十年の時空を越えて我が物顔に建ち並んでいる。
 江戸城の表玄関といえる大手門に出て帰路に着く。
 
内堀通り沿いの柳並木
 
江戸城の表玄関にあたる大手門


さんど

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